イジワル副社長と秘密のロマンス

芝生と芝生の間にある白いタイルの道を進みながら空いているベンチを探すけれど、休憩に入るのが一歩遅かったから、ベンチはほとんど埋まっていた。

今日ここで食べることは無理かなとそんなことを考えた時、一番奥側にあるウッドデッキで女子社員たち四人が一斉に立ちあがったのが見えた。

テーブルの上を片付けたのち、彼女たちはお喋りをしながらこちらに向かって歩き出した。

席が空いたことで、私も歩き出す。

そして彼女たちと入れ替わるようにウッドデッキに足を踏み入れ、ドキドキしながら木製のチェアに腰かけた。

このウッドデッキの部分には布製のお洒落な屋根が付いている。そのため、昼休みはいつもここから席が埋まっていく。

時間どおりに休憩に入れることが少ない私は、この席に座るのが初めてだったりする。

テーブルにお弁当を広げ始めた頃には、みんな休憩が終わる時間だからか、バルコニーから一人また一人といなくなっていった。

念願だった席に座れた嬉しさと、取り残されたような物寂しさを感じながら、黙々と昼食を食べていると、遠くでバルコニーのドアがパタリと閉まる音が聞こえた。

なんと気なしに出入り口の方向に目を向け、ぎょっとする。

樹君が真っ直ぐ、私に向かって歩いてきた。


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