イジワル副社長と秘密のロマンス
緊張感がさらに高まっていく。
私は靴を脱ぎ、なんとか冷静を装いながら、彼の手を取った。
「……お、お邪魔します」
家に上がった瞬間、彼の口角がにやりと上がった。
それに警戒心を抱くよりも先に、乗せた手をきゅっと掴まれ、樹君に力強く引っ張られた。足がもつれてしまい、抗う余裕などない。
気が付けば、私は樹君に廊下の壁へと押し付けられていた。
目の前には楽しそうに笑う樹君の綺麗な顔。
押し付けられた手と肩からは、彼の手の温かさとひんやりとした壁の硬い感触。
樹君の顔が近付いてくる。
「ようこそ、俺の家へ」
互いの唇がわずかに触れあい、思わず息が止まった。
意地悪な響きの中に甘さを含んだ声で囁かれ、くすぐったさに顔が熱くなる。身体全体もじわりと熱くなっていく。
触れそうで触れてこない彼の唇の気配に、身動きがとれずにいる私を見て、彼が小さく笑う。
そのままゆっくりと、唇が重なり合った。
啄むように重なる唇は、柔らかくて温かで、とっても気持ちがいい。
そこにどちらからともなく甘い吐息が混ざり合えば、私はもう……キスのことしか考えられなくなっていく。
このままとろけてしまいそう。
「朝までゆっくりしてって」