イジワル副社長と秘密のロマンス
驚いたのか、樹君はちょっぴり目を見開いて私を見降ろしていたけれど、ふっと、口元に笑みを浮かべると、私の腰に手を回してきた。
身体を寄せ合い見つめ合えば、彼の頬にほんの少しだけ朱が差し込んだ。
「手と手はさ……二度と離れないように……もう絶対離れたくないから、くっつけておいた」
「樹君」
目から涙が零れ落ちると同時に、私は彼の胸元に顔を埋めた。
私たちが離れないようにと、いつかの悲しみを繰り返さないようにと、そんな思いを込めて、樹君はネコとうさぎの手を繋げてくれたのかもしれない。
そう考えると、喜びで胸がいっぱいになっていく。
「大好き!」
私も離れたくない。ずっと樹君の隣にいたい。
思いを伝えたくて力いっぱい抱きつくと、彼もぎゅっと私を抱きしめ返してくれた。
「千花」
ゆっくりと顔をあげる。視線が重なったあと、樹君が私の額にキスをした。柔らかくて、温かな感触に、私は瞳を閉じた。
「俺も。好き」
真剣な言葉と共に、瞼に、頬に、彼が優しくキスを落としてくる。
唇が離れ、目を開けると、すぐそこに彼の顔があった。また視線が絡み合う。
大きくて黒目がちな彼の瞳。いつもクールな眼差しの中に艶やかな熱量を感じ取ってしまえば、気持ちも、身体も、一気に引き寄せられていく。