イジワル副社長と秘密のロマンス


「公私ともに俺の大切な人だから。彼女に妙な真似したら、ただじゃおかない。しっかり覚えといて」


津口さんへ、そして白濱副社長へと視線を流しながら、樹君が自分の考えをはっきりと口にした。言われた二人は完全に表情を無くしている。

自分を包み込む樹君の大きな手を頼もしく感じれば、嬉しさと気恥ずかしさで一気に顔が熱くなっていく。周りの視線もあり、気持ちが落ち着かない。

樹君の顔を見られないでいると、吉原さんが笑った。


「いやぁ。びっくりした。樹の口からそんな台詞がでてくるとは。樹は嫉妬とは無縁の人間だと思ってたよ。お前も普通の人間だったんだな」

「しょうがないじゃん。彼女が絡むと、自分でもどうしようもなくなるんだから」


彼の手が頭に触れ、私は反射的に顔をあげた。

目があえば、彼がはにかんだ笑みを浮かべながら、優しい手付きでぽんぽんと頭を撫でてくる。なんだか気持ちいい。


「今日は俺の後ろに控えてて。軟派な挨拶方法しか知らない男がいるから、離れないで」


守るからと言われている気がして、自然と笑顔になってしまう。

笑顔になったり、落ち込んだり、嬉しかったり、嫉妬したり。私もどうしようもない。樹君が絡むと、簡単に気持ちが乱高下してしまう。

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