イジワル副社長と秘密のロマンス
そんな感じで、今日はずっと俺だけ見ててほしい。
俺のことだけ考えてればいい。
公園内を一通り見て回ってから、俺たちは展望台へと向かった。
あの狭い階段を一段一段ゆっくりのぼり上階に到着すれば、「人いっぱいだね」と千花が悲しそうに呟いた。
ドーナツ形となっている展望部を進んでいくと、窓際にちょうど二人が入れるくらいの人と人の切れ目があった。俺は千花の手を引き、そこへと向かう。
肩を並べ窓から夜景を見降ろす。俺は千花から手を離し、熱のこもった手の平をひんやりとした手すりの上に乗せた。
「綺麗」
両手を手すりに乗せ、千花がしみじみと呟いた。
眼下に広がる広場は祭りの朱の灯りで幻想的であり、遠くに視線を伸ばせば街の明かりがキラキラと輝いている。彼女の言う通りである。
「確かに」
もっと高い位置からもっと遠くの場所まで見渡したこともあるのに、やっぱり、俺の心に響くのはこの場所から見る景色の方だった。
手すりに頬杖をつき、ぼんやり夜景を見つめていると、千花がそっと浴衣の袖を引っ張ってきた。
「どうかした?」
千花を見れば、ちょっぴりふて腐れている。首を傾げれば、目を逸らされてしまった。