イジワル副社長と秘密のロマンス

それだけじゃない。浴衣を着た千花は可愛らしいだけじゃなく、艶やかでもあった。

待ち合わせ場所に現れた彼女にどきりとさせられたけど、それはどうやら俺だけじゃないみたいだった。

公園に向かう途中や公園内で、千花は何人もの知り合いに声をかけられているのだけど、ことごとく、男は彼女に目を奪われていた。

彼女への思いを認識してしまった今、そんな男の視線に苛立ってしまう。

嫉妬している自分に呆れる一方、今この時だけは千花を独り占めしたいと強く願ってしまう。

自分がこんなに独占欲の強い人間だとは思っていなかった。


「綿あめ食べたい! でもその前に、タコ焼き食べたい!」

「匂いにつられて、どこかに行きそう。まぁでも、千花を見失ったら屋台探せばいいよね。すぐに見つかりそう」

「そこまで食いしん坊じゃないから!」

「そ? だったら探すの大変だよね」


俺は手を伸ばし、彼女の手を握りしめた。途端、膨れっ面だった千花が目を大きくさせた。


「念のため、手、繋いどこっか」


笑いかけると、また顔を赤くする。照れすぎ。

手を引いて歩き出す。肩越しに見れば、千花はぼんやりと繋いだ手を見ている。


< 274 / 371 >

この作品をシェア

pagetop