イジワル副社長と秘密のロマンス
それだけじゃない。浴衣を着た千花は可愛らしいだけじゃなく、艶やかでもあった。
待ち合わせ場所に現れた彼女にどきりとさせられたけど、それはどうやら俺だけじゃないみたいだった。
公園に向かう途中や公園内で、千花は何人もの知り合いに声をかけられているのだけど、ことごとく、男は彼女に目を奪われていた。
彼女への思いを認識してしまった今、そんな男の視線に苛立ってしまう。
嫉妬している自分に呆れる一方、今この時だけは千花を独り占めしたいと強く願ってしまう。
自分がこんなに独占欲の強い人間だとは思っていなかった。
「綿あめ食べたい! でもその前に、タコ焼き食べたい!」
「匂いにつられて、どこかに行きそう。まぁでも、千花を見失ったら屋台探せばいいよね。すぐに見つかりそう」
「そこまで食いしん坊じゃないから!」
「そ? だったら探すの大変だよね」
俺は手を伸ばし、彼女の手を握りしめた。途端、膨れっ面だった千花が目を大きくさせた。
「念のため、手、繋いどこっか」
笑いかけると、また顔を赤くする。照れすぎ。
手を引いて歩き出す。肩越しに見れば、千花はぼんやりと繋いだ手を見ている。