イジワル副社長と秘密のロマンス

ふざけた物言いに、空いた口がふさがらない。


「僕の言うことをきくべきです……まぁ宿泊先くらいは、あなたに決めさせてあげてもいいですけど」


続けて、眼鏡を押し上げながら高慢な言葉を発してきた。


――……これ以上、私は我慢できなかった。


勢いよく椅子から立ちがあり、バッグに携帯を戻し、代わりに財布を取り出した。そこから一万円札を取り出して、テーブルに叩きつける。

袴田さんの眼鏡の奥にある瞳が大きく見開いていく。


「私は今日、あなたに奢ってもらったつもりなんてありません。おつりは要りません。逆に足りなかったら孝介先輩に請求してください。もうあなたと私はこれっきりです。さようなら」


バッグに財布を乱暴に投げ入れ、私は出口に向かって歩き出した。






「あぁ、もう!」


レストランを出て、足取り荒く廊下を進んでいく。

人の目があるから嫌なのに、涙が流れ落ちてしまう。怒りで頭がどうにかなりそうだ。

いつもの自分なら、あんな独りよがりの意見を押し付けられたくらいで泣くことなんてないのに、今日はダメみたいだ。

きっとそれは樹君との再会のせい。

心の中がいろんな感情でぐちゃぐちゃで、感情のコントロールがきかなくなってしまっている。


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