イジワル副社長と秘密のロマンス
きゅっと、私の手を掴んでいる彼の手に力がこもった。思考が一時停止する。
「ベッド……俺の隣り、空いてるけど?」
それはつまり、樹君と一晩ベッドを共にするということで……彼の言いたいことを察した瞬間、一気に頬が熱くなる。
「……だめ?」
樹君のねだるような顔と甘えを含んだ声に、狼狽えてしまう。
鼓動が加速し、手を……彼と触れあっている部分を意識してしまう。体温が上昇していく。
私たちは大人であり、付き合った以上、こういう流れになってしまうのは、たぶん自然なことなのだと思う。
でも、数時間前に再会し、付き合うことになったばっかりでもある。関係を深めるのはまだ早いんじゃないかとか、頭の中でいろんなことを考えてしまう。
それに自分は男性経験がないから、いろいろと不安にもなってしまう。
「離したくない。一緒にいて」
私も離れたくない。
樹君の言葉を聞いて、素直にそう思ってしまった。
一緒にいて、そのまま彼に抱かれることになっても、いい。嫌じゃない。
今夜は樹君と一緒にいる。そう言葉にしようとした瞬間、今度は樹君の携帯が鳴った。
着信音は鳴りやまない。相手は彼が電話に出ることを望んでいるみたいだ。