イジワル副社長と秘密のロマンス
椿たちと食事することや実家に泊まるかもということは、前もって連絡してある。
気が付けば時刻は10時を過ぎていた。うちの母はそろそろ寝る準備を始める時間でもある。
「しかめっ面してどうしたの? さっきの眼鏡からメールでも来た?」
「違うよ。お母さんからメール。今日はね、実家に泊まる予定だったから。もうそろそろ帰って来いって。私、実家の鍵を持ってないから、起きて待っていないといけないでしょ? それが苦痛なんだと思う」
親の気持ちもわかるけど、樹君と別れて家に帰らなくちゃいけないのかと思うと、やっぱり寂しい。
「樹君とまだまだ話をしていたかったけど、仕方ないよね。そろそろ私、帰るね」
携帯をバッグに戻していると、樹君に手を捕まれた。
「……もう寝ていいって、メール返したら?」
「えっ、でも。寝てるところ起こすのも悪いし、熟睡してチャイムの音を気付いてもらえなくて家に入れなかったりしたら、寝る場所探さなきゃだし」
「寝る場所、あるでしょ」
じっと樹君が私を見つめてくる。綺麗な瞳が熱を孕み、艶めかしく輝いた。
「俺、今日、ここのホテルに泊まるし」