イジワル副社長と秘密のロマンス
樹君が一生懸命頑張ってることはここ一ヶ月常に感じていたことだ。
それを訴えたいけれど、私が口を挟めるような空気ではなかった。ただ成り行きを見守ることしかできなくて、それが歯がゆかった。
「いつから付き合ってたんだ……まさかお前、お祖母さんを上手く言いくるめて、彼女を秘書に指名させたわけじゃないだろうな」
「ふざけたこと言わないでくれる? ばあさんが千花を気に入ったから彼女を秘書に指名した。千花も前向きな気持ちでここにいる。もちろん俺は、そのどちらの意志にもかかわってない。千花がばあさんの御眼鏡にかなってここにいるんだってことは、はっきりさせておく」
「……まぁ、そうか。悪い、言葉が過ぎた。いくらお前が可愛くて仕方なくても、仕事に対しては別だよな。あのばあさんに限って、それは無いか」
樹君のお兄さんが、遠くを見つめながらぽりぽりと後頭部をかいた。
樹君は追い打ちをかけるように言葉を続ける。
「ついでに言うと、千花は俺がここの関係者だってことを知らなかった。彼女が肩書じゃなくて純粋な気持ちで俺と付き合ってるっていうことも、はっきり言っとく。今すぐ理解して」
弟の言葉を聞いて、樹君のお兄さんは気まずそうに私を見た。気まずさが伝染してきて、私も俯いてしまう。