拾われた猫。
「総司の話を聞かせて」
私がそういうと、左之は黙って道場を出て行った。
総司は表情を崩さずに、「何も無いよ」と答えた。
彼は笑っている。
その笑顔に苛立ちを覚えた。
総司の胸ぐらを掴んで、私を見させる。
「俺を見ろ」
さっきから彼の目には私が映っていなかった。
何か他のものを見ているように思えていた。
彼は目を見開いて、困ったような表情を浮かべた。
「見てるよ」
「見てない」
「雨ちゃんには関係ない!」
悲痛な叫びは私の胸を抉る。
でもここで引くわけにはいかない。