拾われた猫。
トシのいらなくなった書類で遊ぶ猫又をボーッと見ていた。
「……」
「……仕事しろ」
「……」
トシの言葉も耳に入らないほど考え込んでいた。
トシは溜め息をついて、私の前に近づく。
やっとトシが目に入ったことで、意識を戻す。
「昨日の晩飯からずっとそんな感じじゃねぇか。
名前考えてんのか?」
コクリと頷くと、また溜め息をつく。
トシは心配性でもあるし、苦労性だ。
だから溜め息が多い。
「気分転換にその辺歩いてこい」
「え…、仕事は?」
「今のお前に任せられる仕事は歩いてくることくらいだ」
また書類に向き直ったので、トシの厚意に甘えることにした。
私が立ち上がると、遊んでいた猫又も私の肩に飛び乗った。
屯所内をグルグルと歩き回ることにした。