拾われた猫。




その瞬間、両肩をガシッと掴まれて横を向かされる。




「雨ちゃん、俺のことも『新八』って呼んでみてくれねぇか!?」



必死に頼む彼に驚いて言葉が出なかった。


少し興奮気味な彼をぼーっと見ていると、遅れて助け舟が出た。



「新ぱっつぁん!

自分が女に人気ねぇからって雨を使うなよっ!」



新八から私を引き剥がしたのは平助だった。


平助は守るように片手で私の肩を抱いて、もう片方を前に出した。


新八が顔の割に人気無いってことは、多分性格の問題だろう。


それよりもこの体勢は恥ずかしい。




「んなこと言って、お前だって名前で呼んでもらってんだろうが!」

「俺は雨以外も呼んでるからだろっ!」




最近はこの張り合いを見ることで、朝が始まったんだと思えるようになった。



< 99 / 443 >

この作品をシェア

pagetop