宛先は天国ですか?




ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーの売っているお店だった。

そのお店のショーウィンドウ、まさにわたしが足を止めたところに、気になるネックレスを見つけたのだ。

手紙の封筒の形をした、小さな飾りのついたネックレスだ。


「…将太さんに、似合うかな…」

少し、女物っぽい気もするけれど、多分きっと似合うだろう。

そう言い聞かせて、店の中に進んでいく。


10分後、お店から出てきたわたしの手には紙袋があった。

プレゼントするのだと言うと、店員さんがいい感じの箱にネックレスをしまってくれて、可愛い紙袋をくれた。

お母さんとかにプレゼントすると思われたのか、実に愛らしい紙袋だ。


「まあ、いっか」

くすっと笑って、ポケットからスマホを取り出した。

ずっと送れずじまいだった「会いたい」の文字に少しだけ付け足して。

『9日の夜に会いたいです』

震える指で、送信ボタンをタップした。

メールが送られたのを確認して、それからスマホをポケットの中にしまった。

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