宛先は天国ですか?



ファストフード店近くの花壇に腰を掛けて、将太さんが来てないか周りを見渡す。

時間くらい、あらかじめ言っておくべきだったと後悔する。


足を組んでスマホをいじっていると、一つの足音がパタリとわたしの前でやんだ。

まだわたしがここに来てからそう時間は経っていなかった。

だからてっきり、わたしに用があるとは思わなかったのだが。


「お待たせしました、佐川さん」

わざわざわたしの名前を呼んで、クスッと笑みを浮かべてみせる。

パッと顔を上げると、ラフな格好をした将太さんがわたしを見下ろしていた。


「あ、こんにちは…」

いきなり声をかけられ、たじろぎながらもなんとか答える。

将太さんはふわりと優しい笑みを浮かべて、「こんにちは」と返してくれる。


優しいその声に、子供扱いも悪くないなんて思ってしまう。

…いや、やっぱり少しムッとはくるけれども。


とりあえずわたしは、スマホを鞄にしまい、立ち上がった。

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