サヨナラの行方
社長室の前に立ち、大きく息を吐く。
定時後ということもあり、秘書の子たちもいなくなっていた。
少し間を空けて、落ち着いてからノックした。
「どうぞ」
いつもより、社長の声が硬い。
怒っているというよりは、緊張の方か。
それにつられて、俺も緊張してしまいそうだ。
もう一つ息を吐き、社長室に入った。
「お待ちしておりました」
そう言ったのは、案の定一緒にいた常務だった。
やっぱりいるよな。
話しは間違いない。
娘がいないのが幸いか。
「おそらく、話しの内容は分かっておられると思いますが」
話し出したのは、常務の方だった。