サヨナラの行方
こういう時、率先して話すのは社長だと思っていた。
自分の娘のことだから、常務が話すのか。
「亜耶乃と離婚したいと聞きましたが、どういうことですか」
さっきの社長の声同様に、怒っている訳じゃない。
こちらは戸惑いだ。
今までそんなことを言われたことがないからだろう。
俺も、不満を言った覚えはないから。
「不倫相手である悠月が好きなんです。その子以外と一緒にいることは出来ません」
「……その澤村さんは、亡くなったはずでは?それに、なぜ不倫相手を?亜耶乃がいるのに」
「亡くなりました。彼女は悠月が悪いように言いましたが、悪いのは僕です。僕が悠月を誘ったので」
「なぜですか?亜耶乃がいるのにも関わらず……!」
俺の言葉に、だんだん怒りを見せる常務。