サヨナラの行方



そう、いかなる理由があろうとも、結婚しているのに他の人と関係を持つ方が悪い。

不倫に、正当な理由などないのだから。

悠月が命を絶ってしまったのも、全て俺のせい。

どっちつかずで、中途半端だった俺のせい。



「亜耶乃に不倫のことは言えませんが、離婚は許可しましょう。和泉くんの話しを聞く限りでは、これ以上一緒にいることを強いるのは酷でしょうから」



苦笑いしながらそんなことを言う。

父親としては、複雑なのだろう。

不倫が理由で離婚なんて、してほしくはないだろう。

だけど、自分も経験しているため、あまり強くは言えない。

ましてや、そのことを娘には言えない。



「許可していただけるのは嬉しいですが、彼女が頷くとは思えません」


「相当、和泉くんに入れ込んでいるみたいなので難しいでしょうね……。
だけど、辞められるのも困るので」



実際は、父よりも常務としての立場で困るらしい。




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