サヨナラの行方



おそらく、悠月にとっても予定外のことだったに違いない。

理由は分からないけど、死んだと嘘までついている。

それも、仲の良かった池田にまで。

だから、逢うなんて思ってもいなかったはずだ。

2度と逢わないと決めて、こういう手段を取ったのだろう。


ただこうやって対面しても、腕を掴んでいても、信じられない想いが強い。

引き留めたのはいいけど、何から話せばいいんだろう。

家族とさえどうしていいか悩んでいたのに、まさかこういう状況になるとは。


悠月も逃げはしないけど、話そうとはしない。

それどころか、目も合わせない。


とにかくこうなった以上、話さないと何も始まらない。

腹を括って、全てを打ち明けよう。

相手が両親から本人に変わったけど、最初からそのつもりで来たのだから。




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