サヨナラの行方
11th*キミと寄り添う―和泉課長side―
どうやら、悠月が出てきた家が実家だったらしい。
その前で話すと目立つので、場所を移動した。
悠月の死は、街中に知れ渡っているとか。
狭い街だし、田舎だし、何より若い子の死だったからあっという間に広まったんだとか。
そのため、普段はコソコソと変装までしていたらしい。
だから、その辺の店に気軽に入れない。
かと言って物陰に隠れるようにしての立ち話でもダメだ。
かえって目立ってしまう。
色々と考えた結果、俺が泊まろうとしていたホテルに行った。
悠月は、俺の提案に素直に従った。
腕を掴んだままいた訳じゃないけど、逃げようとはしなかった。
そこは少し安心した。
もしかしたら、現実を受け入れられていないだけかもしれないけど。