サヨナラの行方
ホテルに入ったとこで、ふと思い出した。
さっき、悠月より先に出ていった女性のことを。
話していたはずだから大丈夫かと聞くと、悠月も今思い出したかのように連絡をしていた。
「さて、何から話すべきなのか……」
悠月が連絡しているのを少し離れたところから見めつつ、独り呟く。
言いたいことは多々ある。
だけどそれよりも、聞きたいことが出来てしまった。
自分のことを言う前に、どうしても聞きたいことだ。
「すみませんでした」
そう言って戻ってきた悠月の顔は、少しだけ赤くなっていた。
何を話していたのだろうか。
そんなことが気になったけど、今気にするとこはそこじゃない。
「どうして、死んだことになっているんだ?」