サヨナラの行方
他の何よりも、まずはソレが聞きたかった。
数人相手じゃない。
街中全員を騙している。
そんなスケールの大きいこと、普通はやらない。
「……家族に頼んで……」
「じゃあ、その理由は?」
矢継ぎ早にそう問えば、悠月は口を閉ざしてしまう。
コソコソと過ごしていたことからにして、家族以外は事実を知らない。
そのために、少しだけ変装して顔を隠していた。
それは、何よりも息苦しい生き方だと思う。
なぜ、そこまでして……。
「俺は、そこまで嫌われていた?」
理由はそれしか考えられなかった。
あんなことをしてしまった俺を、悠月は許していない。
だからこそ、もっともダメージを受ける方法で姿を消したんだ。