サヨナラの行方



他の何よりも、まずはソレが聞きたかった。

数人相手じゃない。

街中全員を騙している。

そんなスケールの大きいこと、普通はやらない。



「……家族に頼んで……」


「じゃあ、その理由は?」



矢継ぎ早にそう問えば、悠月は口を閉ざしてしまう。

コソコソと過ごしていたことからにして、家族以外は事実を知らない。

そのために、少しだけ変装して顔を隠していた。

それは、何よりも息苦しい生き方だと思う。

なぜ、そこまでして……。



「俺は、そこまで嫌われていた?」



理由はそれしか考えられなかった。

あんなことをしてしまった俺を、悠月は許していない。

だからこそ、もっともダメージを受ける方法で姿を消したんだ。




< 175 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop