サヨナラの行方
紗希ちゃんの電話から1日経ってここへ来た。
早く来たつもりでも、もう夕方だ。
昼過ぎからって、何時間居座っているのだろう。
「とりあえず、状況を見に行くか」
呆れたようにため息を吐き、目的地へ歩き出す。
私のことはバレなかったみたいだ。
まぁ、それもそうか。
ここへ来るにも、変装はしているんだから。
ウィッグの上にサングラスまでかけて、会社には相応しくないだろうな。
「早く出しなさいよっ」
部屋に近づくにつれ、そんな大声が響き渡る。
驚いて課長を見ると、完璧に呆れていた。
人に迷惑はかけているけど、ここまで出来るって凄いなと思ってしまう。
そんなことに感心していると、急に課長が手を握ってきた。