サヨナラの行方
「あ、ありがとう。
確認しておくから、そこ置いといて」
「はい。じゃあ、お願いします」
笑顔でそう言った彼女の立ち去る後ろ姿を見ながら、俺は決めた。
5年間、周りに黙っていた口の堅さがあれば、今回も大丈夫だと思う。
あの時以上に、今必要な存在だ。
この子が相手なら、不満はない。
実際、2年前に関係を持っていたのだから。
そう決めた俺は、すぐに行動に移した。
まずは、家を知るところから始まる。
別れた2年の間に、あの子は引っ越していたらしい。
俺に知られたくなかったのか、俺はその事実を知らなかった。
それでも、簡単に居場所を知ることは出来る。
必要とあれば、人事部に確認は出来るから。
それに、こっそりと聞くことだって出来る。