サヨナラの行方
今回はバレてはいけないことだから、自分自身でこっそり人事部で調べた。
そしたら、前より少しいい場所に住んでいた。
それだけ、収入も増えたということか。
成長しただけのことはあるな。
それに、会社からは割りと近かった。
俺の家の方向とは真逆だから、なおさら都合が良かった。
場所を把握した俺は、その日のうちにあの子のところへ行った。
「……え?い、和泉課長……?」
出てきた彼女は、俺の顔を見るなり驚きの表情になった。
それもそうだろうな。
今になって、逢いにくるとは思っていなかっただろう。
しかし、誰が来たのか確認もせず、開けるのは不用心すぎるな。
「どうして、ここが……?」
引っ越ししたのに、なぜ俺が知っているのか不思議だったらしい。