不器用男子に溺愛されて
「────で、どうなのよ。相変わらず、自分そっちのけで猫ばっかり可愛がられてるの?」
とある日曜日。私と咲ちゃんは、会社の向かいに最近できたというお洒落なカフェでランチをしていた。
普段ゆっくりと話せないようなプライベートな話を休日にゆっくりとカフェでする。それが私たちの定番だった。
「うん。相変わらずミャーコばっかり。全然私の方は見てくれないし、お話もあんまりできなくて」
「それってさ、付き合ってる意味あるの?」
「そう……だよね。でも、別れたくないんだもん」
私は、目の前にあるハニーミルクティーの入ったカップを口元へ運んだ。そんな私の事を理解できないというような顔で見ている咲ちゃん。咲ちゃんがこの後言うことなんて、私には大体想像がついた。
「そのままでいいの? そうやってみや子が我慢するから、それでいいんだって堀川さんも付け上がる訳だし、大体、堀川さんがちゃんとみや子のこと大切にしてるかも定かじゃないじゃない。大切にしてないとは言わないけど、その誠意が見えないのよ」
少しだけ、チクリと胸が痛んだ。
こう言われるんだろう、という予測はしていた。予測できるほどに、この台詞は何度となく言われたことがある。だけど、理久くんが私の事を大切にしてくれていないだなんて、分かっていても切ない。
きっと、多分、本当にそうだと思うから。だから、余計に痛い。