不器用男子に溺愛されて

 理久くんから、返事はない。だから私は引き続き口を開いた。

 もう、逃げたらいけない。もう、我慢なんて言葉で言い訳しない。ちゃんと、私は私の思ってることを伝えるんだ。それは、理久くんとこれからもずっと一緒にいたいと思っているから。


「ねえ、理久くん。こっち見て」

 ゆっくり、ゆっくり、理久くんが私の方へ顔を向けた。今日初めて合った瞳に、私の瞳からはまた大粒の涙がこぼれ落ちた。

 目を少し大きく見開いた理久くんを見ながら、私は大きく深呼吸をした。

「私……私ね、理久くんに今まで言えなかったことがたくさんあるの」

 すう、はあ、と、もう一度呼吸をする。

「私、本当はね……本当は、もっと、もっと、話がしたい。ずっと隣にいたいし、甘えたいよ。理久くんと同じ時間を、もっと、たくさん、理久くんと同じ空間にいるんだって感じながら過ごしたい。もっと、もっと、私を見て欲しいし、もっと、私のことを考えて欲しい。いつもいい子でいるけどね、本当は。本当はね……ずっと、好きだって言って欲しかったの。ずっと、理久くんも私のことを好きなんだって思える確証が欲しかったの」


 お願い。分かって。伝わって。

 私は、ぎゅっと瞼を閉じて、理久くんが何か、言葉を発してくれるのを待った。

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