不器用男子に溺愛されて
「小畑ちゃんはさ、堀川が自分のことを好きじゃないと思ってるでしょ?」
「えっ」
真っ直ぐに私を見て言った森田さんの言葉は、見事に当たっていた。いや、当たっていたというより、私と理久くんは別れることになってしまったのだから、理久くんが私のことを好きなはずがない。
そう思っていた私の心を見透かしたのか、森田さんは「のんのんのん」と言って人差し指を立てて左右へ動かした。
「堀川はね、まだ小畑ちゃんのこと好きだよ。というか、実はあいつの方が小畑さんのこと好きだと思うな、俺は」
「えっ?」
「何よそれ、どういうこと」
私と咲ちゃんは森田さんの言葉に目を丸くした。
「小畑さんは知ってると思うけど、あいつが会社の近くで拾った白い猫いるでしょ?」
「ミャーコ?」
「そうそう、ミャーコ。堀川、どうしてそんな名前つけたと思う?」
森田さんの問いに、私は答えを考え始めた。しかし、考えても考えても答えは見つかりそうにない。
「なんとなく、とか、猫っぽい名前だから、とかですか?」
この私の答えに森田さんは笑いながら首を横に振った。
「二人ともさ、ミャーコって10回言ってみて」