不器用男子に溺愛されて
「ミャーコ、ミャーコ、ミャーコ……」
「ミャーコ、ミャーコ……」
私と咲ちゃんは、森田さんに言われるがままに〝ミャーコ〟と指折り数えながら10回言った。
言い終わったけれど、私は何のことやらさっぱり分からず、森田さんと咲ちゃんを見た。
「……あ、私分かったかも」
「流石咲ちゃん」
分かったかもと言い、笑った咲ちゃんに森田さんが流石と言って笑い返す。
私だけが分かっていないという状況が悔しくて、私は何度も繰り返し〝ミャーコ〟と言い続けた。しかし、一向に答えは見つからなかった。
「ようし、何度もめげずに〝ミャーコ〟と言い続けた小畑さんに答えを教えてあげましょう」
「はい!お願いします」
「ミャーコ、ミャーコ、ミヤーコ、ミヤコ」
「えっ?」
森田さんの言った答えは、分かるようで分からない。確信を持てずにいると、森田さんがハッキリと答えを言った。
「あいつね、あの猫のこと小畑さんに似てるって言ってた。実はそんなに猫好きじゃないらしいんだけど、そんな堀川があの猫を拾ったのは、小畑さんみたいで見捨てられなかったからだと思う。で、名前は小畑さんの下の名前〝みや子〟からとったんだと思うよ」
まぁ、俺の憶測だけど。と言って森田さんが笑う。私は、森田さんの言葉が本当にそうなのかは分からないけれど、そうだったとしたら。そう考えると、嬉しくて、愛しくて、涙が出そうだった。