不器用男子に溺愛されて


 理久くんともう一度向き合おうと決めた私は、仕事中や仕事帰り、理久くんと話せるタイミングがないかをずっと見計らっていた。

 しかし、仕事中は常に話しかけるなというようなオーラを出している理久くん。そんな彼に仕事中話しかけることは不可能だし、仕事終わりに話しかけるタイミングがあったとしても、話しかける勇気が出ず、私は数日間チャンスを逃し続けた。

「ど、どうしよう……」

 理久くんと向き合うと決めてから3日が過ぎている。話しかけたいのだけれど、なかなか話しかけられない。ずっとそんな状況でいた仕事上がりの私の元へ、森田さんと咲ちゃんがやって来た。

「みや子、今日は私達も一緒に行ってあげる」

「そうしたらちょっとは心強いかなと思ってね。何かあったら庇ってあげられるし」

 会社の出口付近で一人、木の陰に隠れながら理久くんが出てくるのを待っていた私。そんな私の目の前にやって来てそう提案した二人に、私の胸は少し暖かくなった。

「……はい!お願いします」

 一人だと、どうしても勇気が出なくて諦めてしまう。だけど、この二人が居てくれるのなら心強い。二人が居てくれるから頑張れそうだと思った。

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