最後の100日~君に幸あれ~

「ちょっと待ってて?」

水族館へ着くと沢田君はどこかへ行ってしまった。

だけど沢田君はすぐに戻ってきた。

「チケット買ってくるね」

「ん?大丈夫、もう買ったから。
中に入ろう?」

「え!?いくらだった?
お金払うよ!」

さっきチケットを買いに行ってくれてたんだ。
申し訳ない…。

「大丈夫だよ。
今日いきなり誘っちゃったし。
これくらいいいよ」

「いや…でも…」

そんな、申し訳なくて私がダメだよ…。

「じゃあさ、これの代わりに名前で呼び合うってどう?」

「えっ…!?」

「お代はそれってことで、はい。」

チケットは私の手に握らされた。
名前で…。

「そ、そんな。
沢田君…」

「俺はそれでいいの。
沢田君じゃなくて?」

名前で呼ぶなんてハードルが高いです。
ワクワクしたような目で見られると言うしかないのかな。

「祐一君…ありがとう」

勇気を振り絞り名前を呼ぶと、さわ…祐一君は顔を背けてしまった。

「えっ!?
どうしたの!?」

「ちょっとまって。
破壊力がやばいから…行こう?」

顔を背けたまま私の手を引いて館内へ入った。

後ろから見える祐一君の耳はほんのり赤くなっていた。

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