最後の100日~君に幸あれ~

「あ…。
美奈…元気だったか?」

目の前にはあの憎いと思っていたお父さんが立っている。
私の頭にはいろいろな記憶がフラッシュバックする。

罵倒の声、私の顔、からだから流れる血、ルウから流れる血。


「あ…はぁはぁ…」

私は涙を流しながら呼吸をした。
うまく息が吸えない。

「美奈ごめんな。

あの日から俺は変わった。

俺がして来たことは最低なことだったんだ。

ごめん。」

そういいお父さんは頭を下げる。

苦しい。

お父さんは最低な人間。
だから最低な人間のままでいてよ。


優しくなんてなっちゃいけないの。

「美奈…ゆっくり息を吸って…吐いて…」

ルイが私の背中をさすりながら言う。
ルイの言うとうりにすると少しずつ楽になって行った。


「目の前で自分の娘が苦しんでいるのに、怖がらせたくないって助けられない親でごめんな。」

お父さんは再び頭を下げる。

「今更謝ったって何も変わらないの。
お母さんやルウを傷つけたことは、消えないの。

最低な親ならそのままでいてよ。
変わらないで」


そういい私はルウのお墓を見つめた。

もしかしてルウのお墓に花をあげてたのはお父さん?

ルイがもうすぐで来るって言ってた。

その後にお父さんは現れた。

そっと振り返りお父さんの手元を見ると新しい花が握られていた。

お墓のところにある少し枯れた花と同じ包み紙。


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