最後の100日~君に幸あれ~

顔の傷が治ると美奈の顔に巻かれた白い布は取れた。

とても可愛いと思った。

猫と人間は違う。
だけど、猫の僕でさえ可愛いと思った。

大きな瞳にスッと程よい高さの鼻、潤いのある小さな口。

「ニャア…!」

僕は見惚れていた。

美奈のそばまで駆け寄り足元に擦り寄った。

『どうしたの?』といい美奈は僕のことを抱きかかえる。

何故か美奈は辛そうな顔をしていた。

美奈の話していることだけ理解できるようになったんだ。

「ニャァ…?」

「ルウには分かるのかな?
ちょっと学校で色々あってね。」

儚げに笑う美奈。
僕に心配させないために笑わなくていいのに。

僕はいつだって美奈の味方だ。

「ニャ!」

僕の声にハッとし、美奈は僕の顔を美奈の顔まで近づけた。

「どうしたの?」


首をかしげる美奈に、僕は前足を美奈の頭に乗せた。

大丈夫。大丈夫。と心を込めて軽くぽんぽんする。


美奈の目元から一筋の涙が溢れた。


「ルウ…ありがとう…」


そう言い、美奈は僕のことを抱きしめたんだ。

大切な物ののようにしっかりと…。



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