だから私は、明日のきみを描く
それが、私のせいいっぱいの告白だった。


これ以上はもう、顔が熱くて、息も苦しくて、言えそうにない。


しばらくぽかんと私を見つめていた彼方くんが、唐突に、


「やったー!!」


と叫んだ。


驚いて硬直しているうちに、彼方くんの両腕が伸びてきて、瞬間、包まれた。



抱きしめられてる、と気づいて、頭が真っ白になる。


次の瞬間、ふわりと身体が浮く感覚。

抱き上げられているのだと気づいたときには、もう完全に、飛んでいた。


彼方くんは私をきつく抱きしめたまま、地面を蹴って跳んだのだ。


私は、彼方くんの全身の躍動と、胸の鼓動を感じながら、彼方くんの肩越しに空を仰いだ。


泣きたくなるくらい綺麗な青空だ。


このまま吸い込まれてしまいそうだから、私は彼方くんの背中に腕を回して、ぎゅっとすがりついた。



そして私たちは、空に包まれながら、マットの上に落下した。


彼方くんが下になってくれたので、衝撃はほとんどなかったけれど、重くなかったかだけが心配だった。


顔をあげると、すぐ近くに彼方くんの顔があった。


恥ずかしすぎて、なんだか笑えた。


すると彼方くんも噴き出して、それから声をあげて笑い始めた。


笑いながら空を見る。


二人分の幸せな笑い声が、真っ白で軽やかな羽根になって、ふわふわと空へ舞い上がっていくような気がした。





【完】



最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

こちらの作品にちょこっと登場した深川先輩がメインとなるリンク作品、【夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく】もあります。

また、遥を主人公にしたスピンオフ作品、【まだ見ぬ春も、君の隣で笑っていたい】もあります。


よろしければ読んでやってください。


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