王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです

毅然とした王女の仕草に、アルベルトは笑みを堪え切れなかった。

この娘を手中に収め、屈服させて従わせたときのことを思えば、喜びを禁じえないのだ。

バルバーニ帝国の覇者がどんな手を使ってでも得たいと思うような力を、この娘は持っている。


「そう警戒しないでくれたまえ。この私にも慈悲がないわけではない。ラナ姫が私の望みに協力してくれるのなら、どんな贅沢でも叶えて差し上げよう」


ラナは淑女らしく睫毛を俯かせたまま、抑揚のない声で答えた。


「皇帝陛下のお望みのものとは、スタニスラバの王立海軍の、統帥権にございましょうか」


アルベルトが片方の目を細める。


「察しがいいな。その通りだ。私は喉から手が出るほど欲しいのだよ、あなたの国の軍事力がね。簡単なことだ。ラナ姫はただこの城に留まってゆったりと暮らし、私が望んだときにはあなたの国の海軍が力を貸してくれるよう、ひと言声をかければよいのだから」


ラナは心の中で胸を撫で下ろした。

これで彼女の愛する者たちを、彼女のやり方で守ることができる。

ラナの予想は当たっていたのだ。

武力で国を築いてきたバルバーニの皇帝が、率直にスタニスラバとの国交だけを望んでいると考えるのは安易すぎる。

彼らが求めるのは力だ。

世界最強の王立海軍を思い通りに操れる権力を求めていて、ラナはそれをスタニスラバの王族のひとりとして、生まれたときから持っている。

王家の者がひと言声を上げれば国の海軍を思うままに動かすことができるのは、スタニスラバの王室が300年以上内乱も戦争も起こさずに国民の信頼を一身に受ける者たちだからで、他国との国交を持たないがために、こうして王家以外の者に利用されることを想定していないからだ。
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