キミが好きなのは俺
健一さんはシートベルトを締めながら
「親父が会社休みの時に、家から持ってきてたまに乗るくらい。
週一くらいかなっ。」
笑ってそう答えた。
「あ、そうなんですか。」
「去年までは車で通学してたから、一応ちゃんと乗れるよ。安心してね。」
エンジンをかけ、スムーズに車を発進させる健一さん。
不思議と安心感に包まれながら
私は助手席から流れていく景色を眺めていた。
「今から行く水族館は、ここからだと1時間くらいかかるんだよね。」
交差点で停まったところで、私の方に顔を向けて話しかけてくれた健一さん。
「途中でコーヒーでも買っていこうか。」
「あ、はい。」
車に乗っている間、健一さんは普通に話しをしてくれて
私は変に優くんのことを考えたりすることは無かった。
それに、私に何があったのとか、深く真相を聞こうとかせず
ただ普通に会話を続けてくれた。
