クールな公爵様のゆゆしき恋情
アレクセイ様の態度の理由が知りたいです。それが納得出来る理由なら、私は過去の事に囚われず、今のアレクセイ様を信じて新しい気持ちでやり直す事が出来ると思うのです。

ですがアレクセイ様は私が納得のいく答えはくれませんでした。

「全て俺が悪かった」

謝るばかりで理由は教えてくれないのです。

「アレクセイ様……私が今聞きたいのは、謝罪の言葉なんかじゃありません」

私の失望に気づいたのでしょう。アレクセイ様はたまりかねた様に椅子から立ち上がりました。そして直ぐに私の直ぐ隣に来ると、私の手を取り言いました。

「ラウラが俺に愛想を尽かした事は分かっているし当然だと思ってる。でも俺はラウラと別れたくない。側で辛い思いをさせた償いをして行きたい。この先はもう哀しませない。必ず幸せにすると誓う。だからもう一度俺を受け入れてくれないか?」

アレクセイ様は真剣に訴えて来ます。

望む答えが貰えず納得の出来ていない私は、アレクセイ様の言葉を心から信用する事が出来ません。

それでも、アレクセイ様の言葉を嬉しいと感じました。

やっぱり私の心はアレクセイ様に惹かれてしまうのです。心の内ではもう一度信じたいと願っているのです。

黙ったままの私に、アレクセイ様が言いました。

「ラウラの気持ちを言ってくれないか? 俺の顔など二度と見たく無い程に嫌っているのか?」

私がアレクセイ様を嫌っている訳がありません。どんなに冷たくされても、婚約解消をして、二度と会わないと決めた時ですら、心から嫌いだと思った事なんてないのです。


「今の私はアレクセイ様に心を開く事が出来ません。アレクセイ様に拒絶され続けた年月で私の心の中から、アレクセイ様に寄り添う想いが消えたのです……いえ、私の意志で消したのです」

私の言葉にアレクセイ様の表情が苦しそうに歪みます。

歩み寄ってくれているアレクセイ様に、あまりに冷たい事を言っているの事は分かっています。

それでも私は自分の内心を見つめながら、ゆっくりとですが訴えました。
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