クールな公爵様のゆゆしき恋情





暖かな日差しの中、アレクセイ様と湖の周りを散策しました。

アレクセイ様と会うのは一月ぶりですから、話は尽きる事がありません。
気持ちが浮き立つのを感じます。

「アレクセイ様、あちらに新しい花壇を作ったんです」

自慢の花壇を見て欲しくて、アレクセイ様の手を引き駆け出そうとしました。

「ラウラ、昨日雨が降ったから道が泥濘んでいるんだ。あんまり急ぐな」


いつか聞いた様な台詞をアレクセイ様が口にしました。

その瞬間、ずるりと足元が滑るのを感じ私は小さな悲鳴を上げました。

「ほら言ったそばから……大丈夫か?」

アレクセイ様は呆れたように言いながら私が転ばない様に、抱き止めてくれます。
私はアレクセイ様を見上げながら、微笑みました。

「アレクセイ様、こんな事が昔も有りましたね。覚えてますか?」

「ああ。忘れる訳がない。ラウラと初めてキスした日なんだからな」

アレクセイ様はそう言いながら私を抱き寄せ、唇を寄せて来ました。

幸せな気持ちになりながら、受け入れます。

アレクセイ様と私も、あの頃と変わってなんていなかった。
いつも心はお互いを求めていたのです。

ただ……。

「アレクセイ様っ……ちょっと待ってください……」
「無理に決まってるだろ?」
「!……っ」

どんどん激しくなっていくキスは、あの頃とは全然違います。

終わりなく求められて、私はすっかり惚けてしまいました。

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