クールな公爵様のゆゆしき恋情
あいつは他の令嬢と違って、俺に気付いても近寄って来たりはしない。

いや、それどころかどう考えても避けられてる状況だ。婚約者なのにもう一月も会っていないのだからな。

この状況はさすがに危機感を覚える。
今夜こそなんとか関係改善をしたい。
落ち着いて感情的にならずに、話し合いたい。



……それにしても、遅くないか?
まさか来ない気じゃ……内心焦りだした頃、視界の端に柔らかな銀の光が映った。

——ラウラ!

夜会に現れたラウラは、真っ直ぐ俺に近付いて来る。

月の光の様な銀の髪。憂いを帯びた菫色の瞳。清楚な乳白色のドレスは、ラウラの可憐さを一層引き立てている。

相変わらず美しい婚約者の姿に目を奪われている俺に、デリアの甘えた様な声が届いた。

「アレクセイ様、聞いていらっしゃいますか?」

全く聞いていなかったが、あえて聞き直したいとも思わず、俺は曖昧に微笑んだ。
そのやり取りを見ていたのか、ラウラが歩みを止めて無表情で俺を見ていた。

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