クールな公爵様のゆゆしき恋情
無関心で無感動。いつの頃からかラウラが俺を見る目はいつもそうだ。どうでも良い存在と言われている様で、堪らない気持ちになる。


「随分と早いお出ましだな」

言ったそばから後悔した。
待ちわびていたくせに、何が早いだ。

ラウラの前に出るといつも意固地になってしまう。いつもラウラの隣にいる男が思い浮かび、劣等感を刺激されて攻撃的になってしまう。本当は誰よりも優しくしたいのに。

だが、こんな事を続けていては駄目だ。
ラウラとは将来結婚する事が決まっているが、俺は名前ばかりの妻が欲しい訳じゃないんだ。

自分を戒めて、歩み寄る言葉をかけようとしたその時、ラウラが優雅に頭を下げた。

「アレクセイ様。この度はご招待頂きましてありがとうございます」

久しぶりに聞いた涼やかな声に聞き惚れ、一瞬言葉を失う。その隙を狙う様に、ラウラは流暢に言った。

「ご歓談中にお邪魔をしてしまい申し訳御座いませんでした。ご挨拶も済みましたので私は下がらせて頂きます」

は?
お、おい待てよ?
まだ来たばかりだろ?

その、明らかに義理を果たしに来ただけですって態度は何だよ?

俺の心の声に気付かず、ラウラは颯爽と立ち去ろうとしている。

「ラウラ、待て」

とにかく呼び止めた。
ラウラが立ち止まり振り返る。

ほっとしたのも束の間、ラウラの首元を飾る首飾りを見た俺は、大きな衝撃を受けて息をのんだ。
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