クールな公爵様のゆゆしき恋情
リュシオンが馬車の扉を開けてくれました。

リュシオンは騎士の礼を取り、まずはエステルをエスコートします。
ですがお兄様と違って私の事を忘れたりはしません。エステルの後にちゃんと私にも手を貸してくれます。

「お疲れになっていませんか?」

「大丈夫。リュシオン達は問題ないですか?」

「部下も私も問題は有りませんよ」

リュシオンは穏やかに微笑んでくれます。
私が幼い頃から護衛に付いてくれているのでとても親しく感じていますが、リュシオンは戦場に出れば敵国の将軍も恐れさせる程の強さを持つ、アンテス最強の騎士だそうです。

鬼神の如き剣の使い手で、他国の王族までもがリュシオンを自分の部下に欲しがっていると噂が立つ程の実力の持ち主なんです。

普段、私の前では少しもそんな風に感じさせませんけどね。



馬車の到着に気付いたのか、事前にお屋敷の清掃や補修をしてくれていた人達が出迎えに来てくれました。

この人達はおばあ様の居た頃からお屋敷に勤めていた人達で、王都に行くまではよく遊びに来ていた私とは顔なじみです。
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