エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
それに、この『ミュージアム』を鉱石のことを教えてくれながら歩くハルヒコ様は、私以上に楽しそうだった。
たぶん今日の彼は、私が屋敷に来てから見たことのある中で一番元気そうで生き生きとしている。
ハルヒコ様の明るい笑顔を見ていると、何だか私の心も明るくなってくるから不思議だ。
だって、彼が元気だってことは、私が彼を癒す必要がなくなってしまうってことなのに。
「よかった。リイナがこの『ミュージアム』を気に入ってくれたんなら、とても嬉しいよ。
ここは、私も大好きな場所だから」
私の言葉に、ハルヒコ様は本当に嬉しそうに目を細めた。
「子供のころはここに入り浸りすぎて、『もう展示ケースの中で暮せば?』なんて兄たちにからかわれていたよ」
「そんなにしょっちゅう来ていたんですか?」
「うん、初めて連れてきてもらった日から夢中になってしまってね。
そのころは今ほど大きなテーマパークではなかったんだけど、博物館エリアは当時から充実してたから。
そうして連日通っているのが、大叔父の目にとまったらしくて」