エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

「大叔父さまに?」

「そう。大叔父はうち鉱山関連事業の責任者で、自分でも鉱物に関わる会社を作るような人でね。
要はそういうものが好きだったんだ。この『ミュージアム』の創設者も彼なんだよ」

「そうなんですか」

「大叔父にはずいぶんかわいがってもらったんだ。
色んなことを教えてもらったし、鉱山の発掘現場や色んな場所にも連れていってもらった。
そうしていつからか、おじさんと同じ仕事がしたい、と考え始めてね。
大学を出たあと、財閥本部で用意されていたポストを蹴って、大叔父の下で働くことにしたんだ」

「夢を叶えた、ってことですか?」

「そういうことになるかな。
一人で勝手に決めたものだから、家族にも大叔父にもだいぶ迷惑はかけたけど。
大叔父が亡くなったあと、彼のポストと会社は私が引き継ぐことになった。
彼には子供がいなかったから、実質私が跡取りというわけさ」
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