エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

なるほど……と頷きながら、私は心の中で思う。

大叔父さまのところで働くのを一人で勝手に決めて、周りに迷惑をかけた……。

確か、マリエ奥様との結婚やマジュを養女にすることも、周りの反対を押し切って実行した、って聞いたっけ。

一度自分で決めたことは、絶対に曲げない人なんだ。

優しくて柔らかそうな見た目と態度の内側に、そんな頑固な一面を隠しているなんて、少し意外。

そんなことを考えながらスプーンを口に運んでいると、今度はハルヒコ様が私に尋ねてきた。


「リイナには、将来の夢はあるかい?」


「え?」


何気ない口調で聞かれ、私はきょとんとする。


「今日は、君とそのことについて話そうと思ってたんだ。
人に聞くならまず自分から教えようと思って、私の原点のこの場所に来ることにしたんだよ」

ハルヒコ様は、優しい目で私を見つめてくる。

私はただ、彼を見つめ返すことしかできなかった。

一体何を言われているのか、よくわからなかったからだ。
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