エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
そう……それであっているよね?
私の将来は、私の主人であるハルヒコ様が決めることのはず。
ハルヒコ様は今、まるで私自身に選ぶ自由があるみたいなことを言ったけど……。
でも、そんなのおかしい。
だって私は、彼の<グリーン>なのに。
「リイナ……その気持ちは嬉しいよ。でも私のことはとりあえず横に置いて。君自身のことを……」
「だったら、旦那様のお仕事の力になれるような勉強を……。
鉱物のことも学びます。それから……」
理解できない話の展開を、どうにか自分の知っている道筋に戻そうと、私は焦って言葉を続ける。
ハルヒコ様は困ったようにそんな私を見つめ、それからふいに、優しくほほえんだ。
「リイナ」
おだやかに名前を呼ばれ、私は言葉をとめた。
「わかったよ。君は本当にいい子だ。
突然こんなことを聞いて、困らせてしまったよね。すまなかった。
でもね、あとでゆっくりでいいから、君自身のこと、考えてみてくれないかな」
ハルヒコ様は、テーブルに置かれた私の手に、そっと自分の手のひらを重ねた。
「<グリーン>としての君はとても頼りになるよ。……でも私は、15歳の女の子としての君のことが、もっとよく知りたいんだ」
鳶色の瞳に見つめられてそう言われ、私はいまだに彼の言葉をうまく飲み込めないまま、控えめに頷くことしかできなかった。
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