エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
その名前を口にしてしまったとたん、今までずっと思い出さないようにしていた彼女の顔がはっきりと脳裏によみがえった。
結い上げた艶やかな赤い髪、紅を引いた肉感的で色っぽいくちびる。
私と同じ―――<リーフ>であることを示す、緑色の瞳。
リイナ、と優しく私を呼ぶときの笑顔。
頭を撫でてくれたあたたかい手。
そして―――
『どうして私を助けたの』
全身で私を拒絶したときの、あの干からびた声音―――。
『花の庭』を出て以来、忘れようとして閉じ込めてきたものが一気にあふれ出そうになって、私は唇を噛んだ。
「ああ、ミズホな……」
アラキさんはちらりと私を見て、何か考えるように視線をそらす。
たぶん、私の気持ちを察してくれたんだろう。
迷うような間を置いてから、彼は答えた。