エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「……あいつとは、こっちに来る時に別れたんだ」
(あ……そうなんだ)
それを聞いて、こわばっていた肩から力が抜けるのがわかった。
「そうだったんですか、ごめんなさい……」
「俺もそれ以来会ってねえけど、まあ元気でやってんだろ」
心配すんな、と彼の大きな手があやすように私の頭をなでる。
私はうつむいて、小さく「はい」とうなづく。
ねえさんが今どうしているのか、知りたかったのは本当だ。
でも、知るのが怖かったのも本当で、だからアラキさんの答えに、私は正直ほっとした。
(今もあの店の稼ぎ頭として働いてるのかな……)
「ところでよぉ」
私の湿っぽい気持ちを吹き飛ばそうとするかのように、アラキさんが明るい声を上げた。
「俺、こっち来てから結婚してさ。娘ができたんだよー」
満面の笑みで言われて、私は目をぱちくりさせる。
いきなりの話題転換に、ちょっと頭が追いつかない。
えっと、ねえさんと別れてから別の人と結婚して、子供ができたって話……だよね?