エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
「アラキさん……?」
目の前の光景に困惑して、後ろにいる彼を振り返ろうとした、その瞬間。
ふわっと身体が宙に浮き上がった。
(えっ……!?)
アラキさんの腕に抱き上げられたのだ、と気付くまでには、少し時間がかかった。
そして、そう気付いた頃には―――私の身体は、あの壁ぎわのベッドの上に放り出されていた。
ガシャァン。
ベッドから落下した灰皿が、床にぶつかってけたたましい音を立てた。
「あ……アラキさん!?なにするの、いきなり」
わけがわからずにいる私の上に、アラキさんが覆いかぶさってくる。
「な、なに……?いやっ……!」
「大人しくしろって」
押し返そうとした両腕は彼の太い腕につかまり、ベッドに押し付けられた。
身動きをとれなくされて、状況の理解できない私は呆然とアラキさんを見上げるしかなかった。
「どうしちゃったの……?ね、ねえ、娘さんと奥さんは……?」
「いねえよそんなもん、この部屋見りゃわかんだろ。俺は独り身だよ」
私の身体の上で、アラキさんはハハッと声を上げて笑った。