エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
みんな私に近づかなかった。
私も彼らに近づこうとは思わなかった。

それでいいと思った。
彼らと仲良しごっこをしたくてここに来たわけじゃない。

私がここに来た理由はただ一つ。

この『原石園』で磨かれて、上層のお金持ちの目に止まる宝石になるためだ。

〈エメラルド〉と同じかそれ以上の治癒能力と、目の肥えた人々を満足させられるだけの美しさ。

それを持ち合わせた私という原石には、娼館育ちということも、黒髪の〈リーフ〉だということも、問題にならないくらいの商品価値がある。

だからこの場所に連れてこられた。


友情も仲間も、愛もいらない。

私が欲しいのは、安心できる暮らしと、〈グリーン〉としての成功だけだった。

***

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