エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜

***



運命の日は、入園から四年がたったころ、突然おとずれた。


園長に呼ばれて入った応接室で、その男は私を一目見るなり、ソファから勢いよく立ち上がった。

「ああ……!君がリイナ?この園で一番優秀だという……」

呆然とした顔で、背の高い男は近づいてくる。

私は最初、彼が私の黒髪に驚いているのだと思った。

「宝石」の下見に来たお客さんだろうに、カタログで私の写真とプロフィールを見なかったのかな?

そう思いながらも、私は客に気に入られようと、とびきりの笑顔を作った。

「初めまして、リイナと申しま―――……」

私のあいさつが終わらないうちに、男の両手が私の肩をつかんだ。

そのまま、私の頭からつま先までのひとつひとつを確かめるように、鳶色の瞳が視線を注いでくる。

私はいきなりのことに声も出なかった。
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