エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
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運命の日は、入園から四年がたったころ、突然おとずれた。
園長に呼ばれて入った応接室で、その男は私を一目見るなり、ソファから勢いよく立ち上がった。
「ああ……!君がリイナ?この園で一番優秀だという……」
呆然とした顔で、背の高い男は近づいてくる。
私は最初、彼が私の黒髪に驚いているのだと思った。
「宝石」の下見に来たお客さんだろうに、カタログで私の写真とプロフィールを見なかったのかな?
そう思いながらも、私は客に気に入られようと、とびきりの笑顔を作った。
「初めまして、リイナと申しま―――……」
私のあいさつが終わらないうちに、男の両手が私の肩をつかんだ。
そのまま、私の頭からつま先までのひとつひとつを確かめるように、鳶色の瞳が視線を注いでくる。
私はいきなりのことに声も出なかった。